蟻が噛んでくるんですよ
公園に座ってスマホをいじったり、ぼんやりしたりしていると、足にチクっと痛みを感じることがある。なんだろうと見てみると、蟻が噛み付いている。結構小さな蟻でも蚊に吸われるときよりも痛みが強く、思わず「あ痛!」なんて口走ってしまうほどだ。
このやろう、わたしをバラして巣に持ち帰る気か……なんて、怒りつつ振り払う。しかしまた数分ののちには噛まれる。裸足にサンダルなのもよくないのだなとは思うが、ともかく蟻たちはわたしを巣に持ち帰ろうと懸命に努力する。
わが家の水槽では最近ドジョウが死んだ。死ぬ前の息も絶え絶えの状態で、すでに大量の川エビたちが群がり、まだ息のあるドジョウをついばんでいた。生きたまま食べられるってこわいね……なんて、パートナーと話しながらも熱心に見守った。翌日、ドジョウはほとんど骨だけになり、しかし残った肉には川エビたちが殺到してモリモリと食べていた。
そんな様子を見たからだろうか、たびたび蟻に噛まれるうち、「もしかしてわたしはもうすぐ死ぬのでは……」と思った。わたしは今生きているけれども、実際は少しずつ死に始めていて、それで蟻たちに食料として認識されていると。まるであのドジョウのように、死の直前から少しずつ分解されて自然に帰っていく運命なのではなかろうかと。
考えすぎだとは思うけれど、蟻にたかられたりハエに止まられたりするのはなんだかショックだ。死ぬの?腐り始めてるの?みたいな気持ちになる。
しかし考えてみたら、昔ゲイの方に熱烈に言い寄られたときのほうが困ったので、やはり昆虫のほうが扱いが楽でいいなぁ、なんて思うのだった。
またゲイバーに遊びに行きたい。