鬱(うつ)病・アルコール依存症・日々のつぶやき

2014年、うつ病・アルコール依存症デビュー。うつの波にぐっと耐えつつ、前向きな日々を送っています。読んで楽しい気持ちになってもらえたらうれしいです。

オークション大戦争

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精神状態、なんとか持ち直してきたように感じる。

夜にはひき肉たっぷりのナス入り麻婆豆腐を作った。前回にも増してスパイスをたっぷり使い、今回もなかなかの出来栄え。出来たてをパートナーとふたりで映画を見ながら食べた。最近は胃が縮んでいてキャパがないのと量を作りすぎたのとで、メニューは麻婆豆腐と少量の発泡酒のみ。二人暮らしなのに木綿豆腐4丁はいささか多かった。半分も食べきれないうち、ふたりして満腹になってしまった。パートナーは「おいしい!」と言って、お代わりまでしてくれていた。

 

食後はふたりで談笑し、しばらくしてパートナーは大好きなアーティストのグッズを勝ち取るべく、ヤフーオークションに気合満タンで望んだ。そのグッズ、モノとしては100円ショップで販売されているレベルのちゃちいものなのだけれど、アーティストの手描きイラストなどが散りばめられ、もう新たに入手することはできないという、非常にコレクション性の高いものだった。ネットで検索しても同じものはどこにも販売していなかった。

 

わたしはPCで高級腕時計のスーパーコピー(非常に精巧なレプリカ)の販売サイトを開いて、ネット上にある本物の画像とレプリカを並べて表示させ、熱心に比較していた。中国製のレプリカといっても、レベルは非常に高く、ニセモノのくせして数万円~10万円以上のものもたくさんある。モノによってはいくら見比べても本物とどこが違うのかわからないものもあった。そういったものの「本物」は数百万円とかで販売されている。1000万超えのものもあった。

 

わたしが先日競り落として大喜びしたのは、(おそらくは)本物のアンティーク腕時計だけれど、価格はわずか1200円。送料を入れても1500円。ロイヤルホストでディナーとか食べれない金額だ。いや、いいんですよ……ちゃんと考えて選んだんだもの。

 

パートナーのオークションが終了時間に迫り、いよいよ戦闘が始まった。5000円……6000円……8000円……12000円……15000円……この敵戦士が転売目的の業者なのか、熱烈なファンなのかはわからないけれど、ともかく値がどんどん釣り上がっていく。

 

パートナーも「もはや負けるわけにはいかない……絶対負けない!」と宣言、バンバン上げてくる敵戦士の目を疑う入札価格の常に上位に君臨し続けた。「強い……働いてないのに……」、「やかましいわ」なんて会話をしつつも、戦いはなお熾烈を極めていった。

 

そのアーティストのファンでなければ100円でも手を出さないであろうグッズが、愛によってその価値を高めていく。理解を超えた超人たちのファンタスティックな入札競争に、わたしはエキサイトしまくった。パートナーは冷静なのに、わたしは興奮しすぎて汗だく。

 

18000円……よし、まだパートナーが最高入札額者だ。残り時間30秒前、よしいける。奴は諦めた!10…9……8……また入れてきやがった!入札時間5分延長!おのれ卑劣なやつめ!(別に卑劣ではない)戦いは続く。20000円の王台を軽々と飛び超え、23000円……25000円……とうとう27000円を超えた。28000……29000……さ、3万行っちゃう!?

 

更に高額の入札がされたことを知らせるアラームの音が室内に響き渡る。その時、パートナーの動きが止まった。リロードすると、最高入札額者の名前が敵の名前に変わり、オークションはそのまま終了した。極度の緊張と興奮から開放され、崩れ落ちるわたし(←入札していない人)。しょんぼりとうなだれるパートナー。

 

「欲しかったああああああ!!くそー!でも、今グッズに何万も使うわけにはいかないんだから、これでよかったんだ……うん。3万円あったらどれだけのものが買えるかっていうのよね。でも、欲しかったなぁ……」

 

わたしは「見続けていれば、きっとまた出るよ」と応えるだけで精一杯だった。身体中が火照って眠れそうになかったので、わたしは近くのコンビニまで出かけ、クールダウンした。夜風が気持ちよかった。帰宅するとパートナーはのんびりお酒を飲んでいた。強い……。

 

ほどなくしてパートナーは横になった。

わたしは心を落ち着かせるためにPCに向かい、ふたたびレプリカと本物を見比べる作業に没頭した。しばらく経ってから、わたしも横になった。目を閉じると、せいぜい数千円が相場の腕時計をコソ泥のように1200円で落札し大喜びしたわたしと、本当に欲しいものと情熱、愛のために堂々と戦い散ったパートナーの神々しい姿が対比された。

 

わたしなんて小者だ。