鬱(うつ)病・アルコール依存症・日々のつぶやき

2014年、うつ病・アルコール依存症デビュー。うつの波にぐっと耐えつつ、前向きな日々を送っています。読んで楽しい気持ちになってもらえたらうれしいです。

最近よく見かける「ミニマリズム」について考えてみた(その2)

昨日、ミニマリズムについて書いた記事がたくさん読まれている。わーい!

わたしはミニマリストではないのだけれど、最近よく見かけるこの言葉、前々からなんだろうと気になっていたのだ。それでふと気が向いて、ちょっと調べてみたり考えたりしつつ、記事にしてみた。(昨日の記事だけども、一応リンクを貼っておきます)

 

restart15515.hateblo.jp

 

ミニマリズムの雑誌をパラっと読んでみた。

この記事を書いたあとで、買い物がてら本屋さんに立ち寄った。ミニマリストとかミニマリズムとか銘打たれた本や雑誌がすぐに目に入ってきた。おお~、本当に流行しているんだなぁ……と軽く感動しながら何冊か手に取ってパラっと読んでみた。このジャンルの記事はシンプルで行間も広めに取ってあり、わたし好みのレイアウトであることが多い。

 

いくつか目を通してみて、どの本でも掲載されているイメージがとても良く似ているように感じた。モノの少ないシンプルな部屋に明るく光が差し込んでいて、ゼリーみたいなプルンプルンの唇を眩しく輝かせたきれいなお姉さん、あるいは今にも日向に溶け出しそうなオーガニック系爽やかイケメンが満足そうに微笑んでいるのだ。

 

ひとつくらい何もない畳の部屋に無精髭の小汚いおっさんが一升瓶1本とともにへそ出しルック(意図していない)で満足そうに頬杖をついて寝転んでいるイメージがあったっていいと思うんだけど、そういうのはなかった。イケメン以外の男子まで断捨離しやがって!!本当のミニマリストなら美も断捨離して真の幸せを見つけてみなさいよバカァ!とか思ったけれど、それじゃあ本売れないもんね。仕方ない。わたしも細身のハンサムに生まれたかった……26インチのジーンズとかどうやったら履けるの。

 

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(美すらも断捨離した覚醒的ミニマリストの例)

 

ともかく、どの本、雑誌でも「ミニマリズムがもたらす素敵な暮らし」のイメージは決まりごとでもあるかのように同じようだった。そしてそのイメージは「無印良品のアイテムで作るシンプルライフ」だとか、「Seria(かわいい100円ショップ)だけで作るおしゃれな部屋づくり」みたいなインテリア系の本とそっくりだ。ふうむ。

 

わたしはほんの少し上っ面を舐めただけのニワカとも呼べないド素人だけれども、(最近流行っている)ミニマリズムということばは「自分の人生を幸せにするため」「本当に必要なものを見極め」、そ「不必要なものを削ぎ落としていく」ことだと理解している。

 

けれども、雑誌の「シンプルに暮らす喜びを感じよう。断捨離で始めるミニマリスト入門」みたいなのを見てみると、

 

1.不要なモノ、しばらく使っていないモノを捨てましょう。

2.新しく買うものは本当に必要な物だけを厳選して購入しましょう。

3.すると、幸せの青い鳥が麦畑を壊滅させるほど発生し、幸福が訪れます。

4.ミニマリスト初心者のあなたにオススメのアイテムはこちら♪

 

こんな感じに記事が展開する。商業物だから読者に何らかのかたちで消費を促すのは仕方ないことなのだけれど、なんだかひっかかる。殿様の頭の上に足軽が乗っかっているような違和感を感じる。(誰にも理解を得られない例え)

 

別のミニマリズム

 

 

上に挙げたのとは別の定義を持つミニマリズムもあるようだ。

この記事でははっきりとミニマリズムとは “簡素なほど複雑で美しい” という考え方」と説明している。なんだか哲学的な感じ。

 

美術建築音楽などの分野で、形態や色彩を最小限度まで突き詰めようとした一連の態度を最小限主義、ミニマリズム: minimalism)という(ミニマリスムとも表記される)。1960年代のアメリカに登場し主流を占めた傾向、またその創作理論であり、最小限(minimal)主義(ism)から誕生し、必要最小限を目指す手法である。装飾的な要素を最小限に切り詰め、シンプルなフォルムを特徴としている。(Wikipedia)

 

なるほど、こっちのニュアンスなら近いのかもしれない……でもこれって、例えば建築物そのものの話であって、ライフスタイルやモノを持つ持たないの話とは違うような気もする。っていうか、違う。ここから派生したというのならわかるけれども。

 

誤用しているようには見えないので、インテリアコーディネートの世界ではこのような使い方をするのでしょう。

 

英語としてのミニマル(minimal)

 

 

英語としてのミニマルとは、どんな意味なのでしょう。わかりやすく説明してくださっている記事がありました。

 

minimal (形)「最小の」「最小限度の」「極小の」

数や割合が絶対的に「最小/極小」

 

 「絶対的に」というのは、ある一定の範囲や基準などに依らずに、ということだそうです。ニュアンスがわかりやすくなるようにミニマム(minimum)と比較してみましょう。

 

minimum(形)「最小の」「最小限度の」「極小の」

数や割合がある範囲内において「最小/極小」

 

 例えばA市の最低賃金が時間給900円だとします。これは最低賃金法という範囲に基づいて定められた金額です。

 

 とある郊外の洋食レストラン。ここにふたりの労働者がいます。ゴーンさんと、わたしです。他のレストランから引きぬかれた優秀なゴーンさんの時給は900円、お皿をよく割るわたしの時給は32円。目もくらむような格差。

 

 

・ゴーンさん(時給900円)

最低賃金法に定められた範囲内において「最小」の時給なので、minimum wage(賃金)ということになります。

 

・わたし(時給32円)

この時給は、最低賃金法という範囲に依らず、オーナーが「こいつには32円くらいしか払わん」というふうに判断し定めた、絶対的な金額です。なので、minimal wageということになります。

 

※なお、ゴーンさんの時給900円が最低賃金法の範囲内における最低賃金であり、オーナーが法律に関係なく絶対的な最低時給と考えている場合、ゴーンさんの時給はminimalかつminimumということになるそうです。うう、難しい……。

 

ミニマルのニュアンス、うまく伝わりましたでしょうか。

時給32円とかわたし超かわいそうですが、さておきミニマルというのは絶対的な最小のことを表すとわかりました。そうすると、ミニマリズムは「極小であること」に範囲を持たず、それぞれが判断する中での「(絶対的)最小限主義」であるということになるんでしょうか。

 

英語では「最低賃金」には「minimum wage」という訳が当てられるそうです。

わたしの現在のお財布の中身はminimalであることもこの度わかりました。やだー!

 

結局ミニマリズムって……もやっとする理由

 

なんだかいろいろなミニマリズムがあるんですね。

今ちまたで流行りまくっているミニマリズムはこの中のどれかなのでしょうか。それとも全部がごった煮になったハイブリッドタイプの新型ミニマリズムなのでしょうか。それぞれ目的が違うのにハイブリッドって……どうなっちゃうの。

 

あちこちで盛んに使われているミニマリズムということばの「定義のあやふやな感じ」。感じている人も多いんではないでしょうか。わたしがそのあやふやさを目にするたびにあれっ?と思うのは、この不思議な、定義の定まらない多様性のようなものが原因なのかもしれません。

 

今日のまとめ

 

どうやらミニマリズムというのは、何か揺るぎない定義があるわけではないみたい。だから、いろんなミニマリズムがあって、いろんなミニマリストがいるのは無理からぬこと。このような状況下で「ミニマリズムとはこうでなければならない!」「こうあるべきだ」なんて言って他を否定しても仕方ない。他人に嫌な思いをさせたり、迷惑をかけない限り、それぞれが自分のミニマリズムを楽しめばいいじゃない。

 

わたしが気に入ったのは、最初に出会ったライアン・ニコデマスさんの「ミニマリズムは幸福を求めるツール」という考えかた。でも、彼が苦難の末にたどり着いた境地は、何気なく見た雑誌のミニマリズム特集から入ったような人ではなかなか実践できないだろう。

 

だから、どのミニマリズムにおいても出てくる「モノを捨てる」という行動がわかりやすくクローズアップされ、「モノを買わない」ことが節約術に繋がり、「モノが少ない」ことから整理整頓術にスポットが当たって、マスコミやらもそれにうまいこと乗っかってやんややんやとやっているうち、気がついたら結局モノに踊らされてました!なんていうことが起きてしまうのだろう。

 

わたしはこれからも麗しき物欲と手に手を取って物欲の社交ダンスを踊り続けたい。今後は100円ショップや世界堂で使うあてのない雑貨や小物を衝動買いしたりしながら、年齢相応に「良いものを長く大切に使う」ことも実践していくつもりだ。もちろん、しっかり楽しみながら。

 

とりあえず、このとっ散らかった机の上をなんとかしなくちゃね。 

 

 

 

トピック「もうモノは必要ない」について