40年生きて初めて知ったホヤ貝のお口とお尻(ホヤの捌き方)
朝の9時と少し。「今日のごはん、いろいろ入れたせいかわからんけど、すっごい固くなってしまったので注意するように」。パートナーはそう言い残すと、新宿へ出かけていった。固いったってしょせんはお米の話だ。大したことはなかろうと軽い気持ちで確かめてみる。炊飯器の中身は、わたしの予想をはるかに超えるものだった。
水分のない米粒がこれだけひしめきあっているのにもかかわらず、一粒一粒すべてが他の米粒とのふれあいを拒絶しているかのようだった。彼らは互いに反目し合いながらも、全会一致で協力して「ふっくら」という本来米にとって最大の栄誉である形容と闘おうとしていた。普通に書き表すなら、すげえ固くて超びっくりした。パートナーが警報を発しただけのことはある。
わたしも外出の用事があったので、食事はひとまずおいて家を出た。要件はすぐに済み、わたしは食料品店に向かった。途中、突然警官に「こんにちは~」と呼び止められた。振り向くと、以前2度ほど深夜の公園でわたしに声をかけた警官だった。職質はされなかった。わたしたちは二言三言交わしてすぐに別れた。
食料品店にはすぐに着いた。
入口横で大きなスイカがひとつ1000円で売っていた。スイカを愛するわたしは悩みに悩んで、先日パートナーに「買いたくば買え。わたしは食べない」と宣言されたのを思い出し、結局スルーした。ひとりでは腐らせてしまう。かと言って小ぶりなのはあまり旨そうでない上に、値段も高かった。このところスイカとは縁がない。
入り口でかごを取り、すぐそばのトマト、きゅうり、えのきを取った。決まった食材を買いに来たわけではなかったこともあり、あとは店内を散漫に見て回った。ふと目を留めた先にドライカレーの素があった。
(リスタートオリジナル創作料理「一粒一粒が決して分かり合えぬ敵同士のピラフ」)
帰宅したわたしは、すぐにドライカレーを作り始めた。 ニンジンとたまねぎを炒め、溶き卵を入れた。次に炊飯器ごとレジスタンスどもをフライパンに叩き込んだ。米は最初からパラパラだったのに、わたしが料理人気取りでフライパンを振りまくったために箸では食べることができないくらいパラパラになった。砂漠の砂のようだった。試しにフライパンを傾けると、上から下に向かって流砂ならぬ流ドライカレーの流れが生まれた。食べてみると意外にイケた。
ほどなく外出したパートナーが帰ってきた。玄関で靴を脱ぎながら「ただいまー!今夜はパーティー!貝パーティーですよ!」と言うので、「おかえり。いったい何事なの……」と聞くと、「ホヤ貝とつぶ貝買って来た!」とのことだった。わたしたちは貝に目がない。
パートナーは部屋着に着替えると、ドライカレーを食べ始めた。 どうかな?と思っていたけれど、パートナーは「これおいしいよ!」と普通に食べていた。ホッとした。
午後はとっ散らかった自室を掃除した。書類やらなんやらが乱雑に積み上がった机周りを整え、キーボードなどの入力装置も手入れした。作業場がスッキリ片付いているのは、とても気持ちの良いことだ。ミニマリストは無理だけれども、プチ断捨離ならチャレンジしてみてもよいかな、とか思った。
あれこれやっているうち夕方になり、わたしは突然激辛チゲスープを作ろうと思い立ち、即座に実行に移した。冷蔵庫に入っているもやし2袋をどうにかしなければと危機感に駆られたのだ。熱心に調理していると、パートナーが台所にやってきた。
「そろそろご飯の支度をしよう!まずはサラダ作る!」
「おねしゃす。スープはもうすぐ完成するよ。かなり辛いよ。」
「まじかー楽しみ」
スープがほぼ完成したところで、わたしはつぶ貝を茹でる準備をした。鍋に塩水を作り、つぶ貝を投入してしばらく放置。すると貝が海に戻ったのと勘違いしてか、出てくる。そのタイミングでファイヤー。つぶ貝を美味しく茹でる手順はこれだけだという。むごい。
隣ではパートナーがまな板の上にホヤ貝を置いて、唸っていた。
「ホヤって、どうやって捌くの……」
「えっ!?知ってるのかと思ったw」
「やったことないwww」
わたしはiPad miniでYouTubeを開くと、ホヤ貝の捌き方を教える動画を探してみた。ふたり並んで何本か見るうち、要点がわかってきた。「なるほど!」と思ったところで、パートナーがおもむろにホヤ貝を捌き始めた。
ホヤの捌き方
いくつか見てみた結果、この動画が一番わかりやすかった。いいタイミングで解説が出るので音声なしでも内容がわかります。
1.口を切り落とす。
汁が出るが、この汁は料理に使えるらしい。いくつか見た動画では、汁を捨てているものも多くあった。
ふたつある突起のうち、ホヤの口は「+」型の穴が空いているほう。
手前のコブに+(プラス)型とは言いづらいものの、ー(マイナス)型とは言えない穴が空いているのが見える。こちらが口だ。
2.お尻を切り落とす。
お尻を先に切ってしまうと、糞の入った濁った汁が出てしまい、料理に使えなくなるという説明をしているものもあった。
こっちがお尻。これもー(マイナス)型とは言い難いけれども、+(プラス)型出ないことは明らか。こちら側を「口を切り落としたあとに」切り落とす。
左がおしり、右が口。
おわかりいただけるだろうか。
3.縦に切り目を入れる。
こぶがあった側から切り目を入れ、皮を脱がせる。身はとっても簡単に取れる。ここで苦労する人はおそらくいないはず。
4.ひも状の腸を取り除く。
本当にひも状なのですぐにわかる。
上に挙げた動画では内蔵も捨てていますが、内臓を残すものも多くあります。このあたりはお好みで良いのかもしれません。
5.身をよく洗う。
水道水でザッと洗う。
4と5は同時にやってもOK。
6.捌き完了。あとは煮るなり焼くなり刺し身で食うなり。
わたしはパートナーが捌くのを横で見ていただけですが、そんなに難しくなさそうでした。
(ホヤ貝のお刺身。若干グロいので画像を小さくしました)
今回は刺し身で食べることにしていたので、生でいただきました。うまい!
風味豊かですごく美味しかった。
ホヤを調理し終えてからほどなく、つぶ貝が茹で上がった。激辛スープも煮こまれてとっても良い感じ。
「さて、食べますか!」
机の上にサラダ、ホヤの刺し身、茹でつぶ貝、激辛スープ、2期目となるドライカレーが並べられた。ドライカレーはまだかなりあった。明日の朝までは食べ続けないとなくならないな……せめて味がまともでよかった。
(まだあった)
「ネットに規制は必要か!?」というテーマで、 ホリエモンとひろゆきが、ネットのことをまるでわかってないなんとか文明というすごい名前の政治家やビジュアル系バンドのボーカルに羽化しそこねたホストみたいな容貌の評論家をものすごい勢いで論破しまくる動画を「こんなにわかってなくても評論家とか言って本出せるんだね」なんて言いながら食べた。
(パートナー制作のサラダ)
サラダはいつだって美味しい。
テーブル上にあるだけで心が潤う。
(激辛スープ)
おたまから盛りつけたそのままなので写真の見栄えは悪いけれど、味はなかなかだった。このスープにはギネスブック掲載の世界一辛いパウダーがスプーン2杯入っている。
ごく少量でもかなり辛くなります。
普通の人だったら爪楊枝の先にちょこっと付けるくらいでも辛味を感じるかも。
(つぶ貝-茹で中)
つぶ貝も美味しかったなぁ。
ドライカレーは明日の朝食で完食となる。
本日のまとめ
未加工のホヤ自体はみたことがあったけれど、実際に捌くところは初めて見た。また、ホヤのふたつの突起が口とおしりだとか、40年以上生きてきて知らなかったことに、またひとつ巡り会えた一日だった。
まだまだ知らないことってたくさんあるんだろうなぁ……。
食事しながら見たホリエモンとひろゆきの論破祭り動画は面白かった。
あと、 ブログを少しだけ模様替えしました。